近年ハクビシンによる被害は、山林の付近のみならず都市部の住宅街でもみられるようになりました。
ハクビシンは、ひところは一部の県の天然記念物に指定されるほどの珍しい野生動物でした。
「白鼻芯」と書いて、ハクビシン。
その名のとおり、顔の中央に額から鼻にかけて白い細長い模様があるのが特徴のジャコウネコ科の哺乳類です。
ハクビシンは外来種だと考えられている。
ハクビシンは日本の在来種なのか、外来種なのか?
江戸時代、明治時代に生息した明確な記録がないことから確定していませんが、外来種と考えられています。
1943年(昭和18年)に静岡県で捕獲されたのが最初の記録とされ、次第に確認地域が増えていきました。
天然記念物だった時があった
生息が確認され始めた当時はとても珍しい生き物で、山梨県では1957年(昭和32年)に、長野県では1975年(昭和50年)に、県の天然記念物に指定されました。
ところがそれ以降どんどん繁殖し、ハクビシンによる農作物の被害が続出します。
1982年(昭和57年)に一部の町村で有害鳥獣駆除の対象となり、天然記念物の扱いも、生息数の増加を理由に解除されました。
日本での生息地
近年では、日本のほぼ全域に生息しています。
ハクビシンによる被害
ハクビシンによる大きな被害は、おおまかに2つです。
●農作物を食い荒らす。
●住宅、家屋に住み着いて糞尿、騒音の害を及ぼす。
ハクビシンは、雑食で 果物、植物の種、小動物、昆虫などを食べますが、特に果物を好み果実を食い荒らします。
次いで野菜が被害にあいます。
夜行性で暗い場所を好み、家屋の屋根裏、天井裏、軒下などが住処にされます。
ハクビシンは、基本母子の家族単位で生活し、糞を同じ場所にする習性があります。
そのため、寝床にされた屋根や天井の裏、軒下などに糞のたまり場が出来てしまいます。
その糞の腐敗により、材木や断熱材が痛んだり、ノミやダニの温床にもなります。
ハクビシンの被害 pic.twitter.com/4VR22SqV
— φО (@HELPTakata) 2012年8月2日
SARSという感染症の発生源と疑われた時があった
2002年に中国広東省で発生し大流行したSARSと呼ばれる重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)の発生源ではないかと疑われた時がありました。
SARSの病原体は新型のコロナウイルスで、中国の野生の狸やハクビシンの糞などから、コロナウイルスと遺伝子配列のよく似たウイルスが発見されたために疑われました。
結果としては感染源はハクビシンではないとされましたが、ハクビシンは菌に対する免疫が強いため、病原菌をばら撒く可能性はあります。
これらたくさんの理由から、ハクビシンは害獣対策の対象になっています。