近年ハクビシンの増加が顕著にみられる。
新潟県でカメラトレースを行ったある調査では、平成25年2頭、平成26年10頭、平成27年59頭が、カメラに捉えられていて、いかに多くなっているかが分かる。
野生動物の増加の要因には、繁殖力、食料、気候、巣環境、天敵、保護などが考えられる。
ハクビシンの場合、これらの要因のどれもがプラスの方向、すなわち増加に寄与することが知られる。
以下に要因を具体的に追ってみる。
ハクビシンの繁殖力
ハクビシンは、生後3ヶ月で成獣と同じ大きさまで成長し、7ヶ月頃から繁殖が可能になる。
妊娠期間は約2ヶ月で、1回の出産で、2~4頭を生む。
繁殖期は通年で、特に夏から秋にかけて多く出産する。
寿命は、10年くらいであったが、近年は15年~20年と長くなってきた。
このように、ハクビシンは、成長が早く、繁殖力が強く、寿命が長いという特性を有し、出生数を増加させる。
ハクビシンの食料
ハクビシンは植物性の雑食で、果樹を多く摂取するが、農作物全般、さらに昆虫、トカゲやカエルやネズミなどの小動物も食べる。
人間社会の生ごみまで漁る。
農家での放置されている農作物や人家でのごみが、ハクビシンの食料事情をよくする結果につながっている。
このような環境適応能力が増加につながっている。
ハクビシンを取り巻く気候と巣環境
ハクビシンは暖かいところに棲む。
温暖化の傾向で、ハクビシンには適した気候になっている。
巣環境では、夜行性であるので、昼間は人家の屋根裏や天井裏に棲みつくようになっている。
過疎化により、廃屋、廃校、空き家、神社、集会所など人間の出入りが少なくなっている場所が増えているのが、ハクビシンにとって棲みやすい環境が手に入る形になっている。
ハクビシンの天敵
ハクビシンの天敵には、フクロウやタカといった猛禽類や野犬がいて、これらが減少したことや、人間の狩猟者も減っていることが、ハクビシンの増加にプラスに働いている。
アライグマも天敵の一つである。
アライグマは近年増加傾向で、しかもアライグマは、巣環境ではハクビシンと完全にかぶるので、ハクビシンの増加にはマイナスになる。
ハクビシンとアライグマ #99ann pic.twitter.com/jZ0WLtWdNT
— はとり (@hanihani414) 2017年7月6日
ハクビシンの保護
ハクビシンは外来種に指定されていない。
すなわ、ち外来生物法に基づく特定外来生物に指定されてなく、鳥獣保護法により、狩猟獣に指定されている。
捕獲・駆除は一般人にはできず、許可が必要である。
人間社会に害があっても、撃退するしか手がない。
また、長野県では、1972年から1995年まで天然記念物の指定を行っていた。
このような保護が、増加に拍車をかけたのは否めない。
まとめ
ハクビシンはかわいいからペットで飼っている人もいる。
ペットも野放しにしてしまうと、繁殖して増加の元になる。
ペットを飼う人は、ハクビシンの害を十分認識して他人や人間社会に影響しないように気を付けるようにすべきである。
また、保護規制でいたずらに増加を許すのでなく、法的になんらかの対策を立てることも必要になってくるのではないか。